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妊娠初期のつわりと仕事の両立|助産師が教える対処法と活用できる制度

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つわりの基本知識:症状、期間、個人差について

妊娠初期のつわりは、多くの妊婦さんが経験する一般的な症状です。つわりの症状や程度には個人差がありますが、一般的には以下のような特徴があります:

・発症時期:妊娠5〜6週頃から始まることが多い
・ピーク:妊娠9〜12週頃
・終息時期:妊娠16週頃までに徐々に落ち着くことが多い

つわりの主な症状には、以下のようなものがあります:

  1. 吐き気・嘔吐
  2. 食欲不振
  3. 特定の匂いに敏感になる
  4. 疲れやすさ
  5. めまいや立ちくらみ

これらの症状は、妊婦さんによって程度や組み合わせが異なります。ある人は吐き気だけを感じ、別の人は嘔吐を伴う激しいつわりに悩まされることもあります。また、食べつわりと呼ばれる、常に何かを食べていないと気分が悪くなる症状を経験する方もいます。

つわりの原因は完全には解明されていませんが、妊娠初期のホルモンバランスの変化が大きく関係していると考えられています。特に、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンの急激な増加が、つわりの症状と関連していると言われています。

つわり中の仕事:職場への報告と配慮の求め方

パソコンの画像

つわりの症状が仕事に影響を与える場合、早めに職場に妊娠を報告し、必要な配慮を求めることが重要です。以下に、職場への報告と配慮の求め方についてのアドバイスをまとめます:

  1. 報告のタイミング

妊娠初期は流産のリスクが比較的高いため、報告を躊躇する方も多いですが、つわりがひどく仕事に支障が出る場合は、早めの報告をおすすめします。信頼できる上司や人事担当者に状況を説明し、サポートを求めましょう。

  1. 報告の方法

・直属の上司に個別に報告する
・人事部門にも同時に報告する
・必要に応じて、産業医や保健師にも相談する

  1. 伝えるべき内容

・妊娠の事実と予定日
・現在の体調と仕事への影響
・医師からの指示(ある場合)
・必要な配慮や調整の内容

  1. 配慮の例

・時差出勤の許可
・テレワークの導入
・休憩時間の増加や柔軟化
・業務内容の調整(立ち仕事の削減など)
・匂いのする場所での作業の回避

  1. 法的保護の活用

男女雇用機会均等法により、妊婦は適切な労働環境を得る権利が保護されています。「母性健康管理指導事項連絡カード」(通称:母健連絡カード)を活用することで、医師の指導に基づいた勤務調整を正式に求めることができます。

助産師ちる
助産師ちる

母健連絡カードの活用されている方は、意外とたくさんいらっしゃいます。

無理のない環境で働くためにも、勤務を調整していきましょう。

つわり対策:仕事中でも実践できる工夫と対処法

レモン水の画像

つわりの症状を完全に防ぐことは難しいですが、以下のような工夫や対処法を実践することで、症状を和らげたり、仕事中の負担を軽減したりすることができます:

  1. 食事関連の対策

・小分けに食事をとる:一度に多くの食事をとるのではなく、少量ずつ頻繁に食べることで、胃への負担を軽減します。
・水分補給:こまめに水分を摂取し、脱水を防ぎます。レモン水やジンジャーティーなど、さっぱりした飲み物が効果的な場合もあります。
・冷たい食べ物:アイスやフルーツなど、冷たい食べ物が吐き気を和らげることがあります。
・クラッカーやビスケット:朝起きる前にベッドサイドに置いておき、起き抜けに少し食べると良いでしょう。

  1. 環境への対策

・換気:作業場所の換気を十分に行い、匂いを軽減します。
・アロマテラピー:レモンやペパーミントなど、さわやかな香りのアロマオイルを使用すると気分が落ち着く場合があります。
・温度調節:暑さや寒さは吐き気を悪化させることがあるので、快適な温度を保つよう心がけます。

  1. 休憩と姿勢の工夫

・こまめな休憩:短時間でも頻繁に休憩を取り、体を休めます。
・深呼吸:ゆっくりと深呼吸をすることで、吐き気を和らげることができます。
・姿勢の調整:デスクワークの場合、背もたれを少し倒して半臥位の姿勢をとると楽になることがあります。

  1. 気分転換

・軽い運動:短時間の散歩や軽いストレッチで気分をリフレッシュします。
・音楽:リラックスできる音楽を聴くことで、気分を落ち着かせます。

  1. つわり対策グッズの活用

・つわりバンド:手首のつぼを刺激するバンドで、吐き気を軽減する効果があると言われています。
・マウスウォッシュ:口中を清潔に保ち、不快な味や匂いを軽減します。
・使い捨て紙エプロン:急な嘔吐に備えて、服を汚さないように携帯しておくと安心です。

助産師ちる
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特に、深呼吸は結構大事です。つわりの症状がひどいと、知らず知らずの間に猫背になってしまいます。気がついた時にしっかりと胸に空気を入れて、リフレッシュしていきましょう!

つわりと仕事の両立:時差出勤やテレワークの活用法

マスクをしている女性

つわりの症状と仕事を両立させるためには、柔軟な勤務形態を活用することが効果的です。特に、時差出勤やテレワークは多くの妊婦さんにとって有用な選択肢となっています。

  1. 時差出勤の活用

時差出勤は、通勤ラッシュを避けることができるため、つわりの症状が強い朝の時間帯に役立ちます。

・メリット:

  • 混雑した電車やバスを避けられる
  • 朝のつわりが落ち着いてから出勤できる
  • 体調に合わせて仕事のスタート時間を調整できる

・申請方法:

  1. 上司や人事部門に時差出勤の必要性を説明する
  2. 必要に応じて母健連絡カードを使用し、医師の指導を示す
  3. 具体的な出勤時間と退勤時間を提案する

・注意点:

  • チームの業務に支障が出ないよう、コミュニケーションを密に取る
  • 時差出勤中も必要な会議には参加できるよう調整する
  1. テレワークの活用

テレワークは、通勤の負担を完全に解消し、自宅で快適に仕事ができる環境を整えることができます。

・メリット:

  • 通勤による体力消耗を避けられる
  • 自宅のトイレや休憩スペースを自由に使える
  • 匂いのする職場環境を避けられる

・申請方法:

  1. 会社のテレワーク制度を確認する
  2. つわりの症状とテレワークの必要性を上司に説明する
  3. 母健連絡カードを使用し、医師の指導に基づいたテレワーク申請を行う

・効果的なテレワークのコツ:

  • 自宅に快適な作業環境を整える(椅子、デスク、照明など)
  • オンラインコミュニケーションツールを活用し、チームとの連携を保つ
  • 適度な休憩と軽い運動を取り入れる
  • 仕事とプライベートの切り替えを意識する
助産師ちる
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座るだけでは、つわり症状が全く良くならない方もたくさんいらっしゃいます。職場で横になれる場所がないか確認しておくだけでも、職場で症状が悪化した時に対応がしやすくなります。

つわりに関する法的保護:母性健康管理指導事項連絡カードの使い方

書類を書いている画像

妊娠中の女性労働者を保護するため、日本では法律で様々な権利が定められています。その中で、つわりに関連して特に重要なのが「母性健康管理指導事項連絡カード」(通称:母健連絡カード)の制度です。

  1. 母健連絡カードとは

母健連絡カードは、妊婦健診を行った医師や助産師が、妊婦の健康状態に配慮した勤務が必要と判断した場合に、その指導内容を事業主に的確に伝えるためのツールです。

  1. 母健連絡カードの特徴

・診断書と同等の効力がある
・病名がつかなくても発行できる
・医師の指導内容に基づいて職場での配慮を求められる

  1. 母健連絡カードの入手方法

・産婦人科医院や病院で入手可能
・厚生労働省のウェブサイトからダウンロード可能

  1. 母健連絡カードの記入内容

・妊婦の体調や症状(つわりなど)
・必要な措置(勤務時間の短縮、作業の制限など)
・指導事項の有効期間

  1. 母健連絡カードの使用手順

(1) 妊婦健診時に医師や助産師に状況を相談し、カードの記入を依頼する
(2) 記入されたカードを職場の上司や人事部門に提出する
(3) 事業主は、カードに記載された指導事項に基づいて必要な措置を講じる

  1. 母健連絡カードで要請できる主な措置

・勤務時間の短縮
・休憩時間の延長
・作業の制限(立ち仕事の回避など)
・通勤緩和(時差通勤、交通手段の変更など)
・休業

  1. 注意点

・カードの使用は妊婦の権利ですが、職場との良好な関係を維持するためにも、事前に上司や人事部門とよく相談することが大切です。
・カードの内容は妊娠の経過に応じて更新することができます。体調の変化があれば、再度医師に相談し、新しい指導内容を記入してもらいましょう。

つわりと仕事に関するQ&A:よくある疑問と回答

Q&Aの画像

つわりと仕事の両立に関して、多くの妊婦さんが抱える疑問についてQ&A形式で解説します。

Q1: つわりで仕事を休んだ場合、傷病手当は受けられますか?

A1: つわりによる休業で傷病手当金を受け取れる可能性はありますが、職場や加入している健康保険によって対応が異なります。一般的には、医師の診断書や母健連絡カードに基づいて4日以上連続で休んだ場合に申請できることが多いです。具体的な条件や手続きについては、所属する健康保険組合や会社の人事部門に確認してください。

(出典:厚生労働省「出産育児一時金・出産手当金・傷病手当金について」)

Q2: つわりに効く薬はありますか?日本でも処方してもらえますか?

A2: 日本でもつわりに効果がある薬はありますが、欧米に比べると処方される頻度は低い傾向にあります。一般的に使用される薬としては、ビタミンB6やメトクロプラミド(プリンペラン)などがあります。ただし、薬の使用については必ず担当の産婦人科医と相談し、個々の状況に応じた適切な判断を仰ぐことが重要です。

(出典:日本産科婦人科学会「妊娠悪阻の診療ガイドライン 2022」)

Q3: つわりの期間中、体重が減少しても大丈夫ですか?

A3: つわりによる軽度の体重減少は一般的に問題ありません。多くの妊婦さんが妊娠初期に2〜3kgの減量を経験します。ただし、妊娠前の体重と比べて5%以上の減少がある場合や、急激な体重減少、脱水症状がみられる場合は要注意です。このような状況では、妊娠悪阻(つわりの重症型)の可能性があるため、速やかに医師に相談してください。

(出典:日本産科婦人科学会「妊娠悪阻の診療ガイドライン 2022」)

Q4: つわりがひどくて仕事に集中できません。どうすればいいですか?

A4: つわりがひどい場合は、以下の対策を試してみてください:

  1. 小分けに食事をとり、空腹を避ける
  2. 水分をこまめに補給する
  3. 休憩を多めに取り、リラックスする時間を作る
  4. 職場の理解を得て、可能であれば仕事内容や勤務時間の調整を行う
  5. 母健連絡カードを活用し、医師の指導に基づいた配慮を求める

それでも症状が改善しない場合は、担当医に相談し、必要に応じて薬物療法や点滴などの治療を検討することも大切です。

Q5: つわりで仕事を休むことに罪悪感を感じます。どう考えればいいですか?

A5: つわりによる体調不良で仕事を休むことに罪悪感を感じる方は多いですが、そのような感情は不要です。以下の点を心に留めておきましょう:

  1. つわりは妊娠に伴う正常な生理現象であり、個人の努力で完全にコントロールすることは難しい
  2. 無理をして体調を崩すことは、母体と胎児の健康にとってリスクとなる
  3. 休養をとることで、長期的には仕事のパフォーマンス維持につながる
  4. 法律で保護されている権利を行使することは正当な行為である

職場の理解を得ながら、適切に休養をとることが、健康的な妊娠生活と円滑な仕事の両立につながります。

Q6: つわりの症状が夜間や休日に悪化します。仕事への影響を最小限に抑えるには?

A6: 夜間や休日にのみつわりの症状が悪化する場合、以下の対策を試してみてください:

  1. 睡眠時間を十分に確保し、平日の体調管理に努める
  2. 週末は可能な限り休養をとり、体力の回復に努める
  3. 食事の内容や時間を工夫し、症状が悪化しやすい時間帯を避ける
  4. リラックス法(呼吸法、軽いストレッチなど)を習得し、症状緩和に役立てる
  5. 必要に応じて、平日の勤務時間を調整し、体調の良い時間帯に仕事を集中させる

症状のパターンを把握し、自分なりの対処法を見つけることが大切です。

Q7: つわりに関して、上司や同僚にどこまで説明すべきですか?

A7: つわりに関する説明の程度は、職場環境や個人の状況によって異なりますが、一般的には以下のポイントを押さえると良いでしょう:

  1. 直属の上司には、ある程度詳しく状況を説明する
  2. 人事部門にも基本的な情報を共有する
  3. 日常的に協働する同僚には、必要に応じて簡単な説明を行う
  4. プライバシーを考慮し、詳細な症状については必要最小限の共有にとどめる
  5. 業務に影響が出る可能性がある場合は、具体的な対応策を提案する

コミュニケーションを適切に取ることで、周囲の理解と協力を得やすくなります。

助産師ちる
助産師ちる

つわりは本当に個人差が大きい不調です。他の妊婦さんが辛くなさそうだからと、頑張ってしまうと、しんどくなってしまいます。周りの方に相談しながら、しっかりと休息を取れる環境を整えていきましょう。

つわりを乗り越えて:仕事と妊娠の両立に向けた心構え

ベッドで伸びをしている女性

つわりの時期を乗り越え、仕事と妊娠を上手に両立していくためには、以下のような心構えが大切です:

  1. 自己管理の重要性

・体調の変化に敏感になり、無理をしないよう心がける
・十分な睡眠と栄養摂取を心がけ、体力の維持に努める
・ストレス管理を行い、心身のバランスを保つ

  1. 柔軟な対応

・症状や体調の変化に応じて、その都度最適な対処法を見つける
・完璧を求めすぎず、状況に応じて優先順位を柔軟に変更する

  1. コミュニケーションの重視

・上司や同僚との対話を大切にし、必要な情報を適切に共有する
・家族やパートナーとも常に話し合い、サポートを得る

  1. 前向きな姿勢

・つわりは一時的な症状であり、必ず終わりがあることを意識する
・新しい生命を育む大切な時期として、ポジティブに捉える

  1. 情報収集と準備

・妊娠や出産に関する正確な情報を積極的に収集する
・産後の働き方についても早めに考え、必要な準備を進める

  1. 自分への思いやり

・完璧を求めすぎず、時には「できない」ことを受け入れる
・自分の体調を最優先し、休養をとることを恐れない

  1. 長期的視点の保持

・キャリアは長い人生の中で柔軟に形成されていくものと捉える
・一時的な変化や調整は、将来のキャリアにとってマイナスではないことを理解する

つわりの時期は確かに大変ですが、この経験を通して自己管理能力や問題解決能力が向上することもあります。また、周囲の理解や支援を得ることで、人間関係がより深まる機会にもなります。

この時期を乗り越えた先には、新しい命との出会いという大きな喜びが待っています。辛い症状に向き合いながらも、その先にある幸せな未来を思い描きつつ、一日一日を大切に過ごしていきましょう。

妊娠中の体調管理と仕事の両立は決して容易ではありませんが、適切な情報と周囲のサポート、そして何より自分自身への思いやりを持って過ごすことで、この特別な時期を健やかに、そして充実したものにすることができます。つわりの症状に悩まされることがあっても、それは新しい生命を育む過程の一部であり、あなたの体が母親になる準備をしているしるしでもあるのです。

この記事が、つわりに悩む妊婦さんたちの一助となり、仕事と妊娠の両立に向けた前向きな一歩を踏み出す勇気を与えられれば幸いです。一人で抱え込まず、周囲のサポートを受けながら、あなたらしい妊娠生活を送ってください。

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