妊娠・出産は夫婦にとって人生の一大イベントです。特に出産時の夫の言葉がけや行動は、妻の心強い支えとなり、出産の経験を大きく左右します。本記事では、陣痛から出産、そして産後まで、それぞれの場面で夫ができるサポートと適切な言葉がけについて、現役助産師の監修のもと、詳しく解説します。
出産時の夫の言葉がけが重要な理由
出産時の夫の言葉がけが与える影響は想像以上に大きいものです。適切な声かけは、妻の心身の支えとなり、より良い出産体験につながります。
データで見る夫の言葉がけの重要性
- 立ち会い出産経験者の約9割が「夫の存在が心強かった」と回答
- 出産後も夫婦の絆が深まったと感じた人が75%以上
- 夫の言葉がけで陣痛の痛みが和らいだと感じた人が約65%
夫の言葉がけが出産に与える影響
- 妻のストレス軽減
- 陣痛への前向きな気持ちの維持
- リラックス効果
- 夫婦の信頼関係の強化
陣痛中に夫がすべきこと・避けるべきこと
陣痛中に夫がすべき基本的なサポート
- 陣痛の間隔を記録する
- 病院との連絡を取る
- 必要な持ち物の確認
- 移動手段の準備
陣痛中の具体的なケア方法
1.マッサージによるサポート
- 腰部のマッサージ
- テニスボールを使用した圧迫
- 肩甲骨周辺のマッサージ
2.環境づくり
- 適切な室温管理
- 明るさの調整
- 静かな環境の確保
3.水分・栄養補給
- こまめな水分補給
- 軽い食事の提供
- アイスの準備

助産師さんがどんなサポートをしたらいいかアドバイスくれるので、アドバイスを聞きながら奥さんのサポートをしてあげましょう。
陣痛中に避けるべき言動
- 携帯をいじり続ける
- 退屈そうな態度を見せる
- 「まだ?」「早く」などせかす
- 不必要に話しかける
- その場を離れる

お産は長丁場になることがほとんどです。だんなさんも疲れてきます。ですが、奥さんの目の前で、携帯をいじったり、明らかに疲れた顔をしたりすると、奥さんが傷ついてしまう事もあるので、ぜひコミュニケーション取りながら、奥さんの見えないところで休憩をとるのもお勧めです。
陣痛中の効果的な声かけ例文20選
陣痛の初期
- 「ゆっくり深呼吸しよう」
- 「一緒に乗り越えていこう」
- 「水飲む?休む?何でも言って」
- 「すごく頑張ってるよ」
- 「僕がついているから大丈夫」
陣痛が強くなってきた時
- 「呼吸を整えよう」
- 「力を抜いて」
- 「あと少し」
- 「順調に進んでるよ」
- 「一緒に呼吸しよう」
いきみたくなってきた時
- 「ゆっくり息を吐いて」
- 「赤ちゃんと一緒に頑張ろう」
- 「もうすぐ会えるよ」
- 「すごく上手だよ」
- 「僕も一緒に頑張るよ」
疲れが見えてきた時
- 「休める時に休もう」
- 「氷枕替えようか?」
- 「肩揉もうか?」
- 「顔の汗拭こうか?」
- 「今のペースでいいよ」
分娩室での夫ができること
基本的な心構え
- 医療スタッフの指示に従う
- 妻の頭側での付き添い
- 落ち着いた態度を保つ
- 必要な物品の準備

一緒に乗り切ろう!という気持ちが大切です。
具体的なサポート方法
1.呼吸法のガイド
- 規則正しい呼吸の促し
- 一緒に呼吸を合わせる
2.物理的サポート
- 汗を拭く
- 水分補給
- 体位変換の手伝い
3.精神的サポート
- 励ましの言葉
- 手を握る
- 見守る姿勢
赤ちゃん誕生直後の適切な言葉がけ
最初に伝えたい言葉
- 「ありがとう」
- 「お疲れ様」
- 「よく頑張ったね」
気持ちを込めて伝えたい言葉
- 「素晴らしい頑張りだったよ」
- 「感動したよ」
- 「本当にすごかった」
避けるべき言葉
- 「やっと終わったね」
- 「大変だったでしょ」
- 「次はもっと上手くできるよ」
産後に夫が言ってはいけない言葉
体型に関する言葉
- 「太ったね」
- 「お腹まだ大きいね」
- 「戻るの遅いね」
育児に関する言葉
- 「ダラダラしてる」
- 「寝てばっかり」
- 「おっぱい足りてないんじゃない」
生活に関する言葉
- 「家事もやってよ」
- 「いつも疲れてる」
- 「外出しないの?」

産前産後に傷ついた言葉は一生忘れない方が多いです。命がけで自分の子供を産んでくれる奥さんにぜひ優しい言葉をかけてあげて下さいね。
立ち会い出産のメリット・デメリット
メリット
1.夫婦の絆の深まり
- 共通の体験による信頼関係の強化
- 父親としての自覚の芽生え
- 妻への感謝の気持ちの深まり
2.実践的なサポート
- タイムリーな声かけ
- 即座の物理的サポート
- 心強い存在感
3.思い出づくり
- 家族の記念となる瞬間の共有
- 子育ての原点となる体験
- 感動の共有
デメリット
1.心理的な負担
- 夫の緊張や不安
- 妻の羞恥心
- 予期せぬ事態への対応
2.実務的な課題
- 仕事の調整
- 上の子の世話
- 体調管理
コロナ禍での夫の立ち会いと工夫
オンラインでの立ち会い方法
- ビデオ通話の活用
- 電話での声かけ
- メッセージアプリの利用
事前準備のポイント
- 通信環境の確認
- バッテリー対策
- 代替手段の準備
効果的なコミュニケーション方法
- 定期的な状況確認
- 具体的な声かけ
- 医療スタッフとの連携

現在ではだいぶ感染症での規制が少なくなってきているので、オンライン立ち合いではなく、実際に立ち会える施設が圧倒的に多いです。ですが、仕事の関係で立ち会えなかったり、インフルエンザなどの感染症が流行って一時的に規制が強くなっていることもあるので、そういった時に参考にしてみて下さい。
まとめ:出産時の夫の心構えと準備
出産時の夫の役割は、単なる立ち会いにとどまりません。適切な言葉がけと行動で、妻の心強いサポーターとなることができます。本記事で紹介した具体例を参考に、夫婦で話し合いながら、自分たちに合った方法を見つけていくことをおすすめします。
最後に、出産は予定通りに進まないことも多いため、柔軟な対応が求められます。医療スタッフの指示に従いながら、落ち着いて行動することを心がけましょう。そして何より、妻への感謝と励ましの気持ちを忘れずに伝えることが、より良い出産体験につながります。
[出典]
- EPARKの立ち会い出産に関する記事(2022年更新)
- ベネッセの医師監修記事(2019年)
- Cozreの出産体験談記事
- 日本赤十字社医療センターの医師監修記事
- 助産師による解説動画